2012年07月26日

【みにクル】富士山スカイラインの標高帯別鳥類生息数調査(6月9-10日)

ずいぶん経ってしまいましたが、今年の富士山でのみにクル調査のご報告です。

 当日は、6月9日お昼に調布を出発し、参加者の方々を方々の駅でひろいながら、川崎ICへ向かいました。去年は中央高速で山梨の方から須走口へ向かいましたが、今年の調査地は富士山の南側富士宮口で調査です。なので今年は東名高速です。今回もLASP富士山鳥類調査研究グループ(LASPFG)との共同での調査です。自動車で登れるスカイラインの上から下まで、鳥の生息数を調査するのが目的でした。
 9日は富士山の富士宮ルートで5合目までのぼり,そこから,調査の練習と現地の下見を兼ねながらのミニ探鳥会。麓は少し雨がちな真っ黒な空だったのですが、五合目まで上がると雲を突き抜けて、晴れ間と富士山頂が見えました〜♪その晴れ間に合わせてか、ルリビタキやメボソムシクイ、ビンズイがさえずってくれました。その後は,麓の方へ移動し、アカハラやクロツグミの夕暮れのコーラスを楽しみながら、出現しそうな鳥類相を概ね把握しました。
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 下見と練習を終えたあとは、皆で近くのファミレスへ。食事を楽しんだ後、調査地点と担当区間を相談して決め、ホテルでさっさと就寝。なにせ翌朝は3時起床でお願いしましたので(笑)。

 天候が心配でしたが、翌朝の天候はほどよい曇り空。調査区間が10km以上と長く、標高差も2400m〜1800mまで。そこで、調査地点間を広げて標高100mごとに参加者の皆さんを車2台で配置していきました。休憩はさんでとは言っても,9時まで調査。朝食も合間や移動の時間におにぎりなどですませてもらいました。
 調査終了後、とりまとめ。同じ区間を別の人が1回ずつ調査するようにしたので,調査後にその突き合わせをして,どこでどの鳥が鳴いていたか地図にプロットしていきます。まとめの完了後、富士吉田名物のうどんを食べながら、その結果をみなで眺めました。すると、ヒガラやウグイスのように上から下までいる鳥がいる一方で、標高の上の方にはルリビタキが集中していたりと、特徴的な傾向が浮き上がってきました。しかも、昨年とは登山口が異なることもあってか、異なる傾向が見受けられます。調査の達成感を得られる瞬間でした。

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富士山まとめ地図.jpg


 食後は、お楽しみのバードウォッチング。自衛隊の演習地にお邪魔して,高原の鳥の鳥見です。ノビタキやコムクドリを近くで見られましたし、オオジシギの素晴らしいディスプレイフライトの羽音に酔いしれました。
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 早朝から午後半ばまで濃い1日でしたが、良い調査成果が得られましたし、参加者の皆さんにも楽しんでいただけたようでほっとしています。調査へのご参加ありがとうございました。
また来年も企画したいと思います。

高木憲太郎・森本元(LASPFG)


posted by バードリサーチ at 18:18| みにクル報告(富士山) | 更新情報をチェックする

渡り鳥の世界(中村司著)

中村司さんより表記書籍を寄贈いただきました。

渡りについて生態から整理,ナビゲーションまで,日本語で読める本があまりない中,中村さん自身の研究を交えて渡りの全体像を解説した本です。
ぼくも,生態についてはいろいろ読んで知っていましたが,生理的な部分は不勉強で知らなかったので,精巣や卵巣など発達するのは,繁殖地についてからかと思っていたのが,渡りの途中で徐々に発達しているなど,知ることができて,勉強になりました。
渡りに興味のある方は,ぜひ読んでみてください

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中村司
渡り鳥の世界 -渡りの科学入門-
山梨日日新聞
1200円+税

■注意:Amazonで買おうとすると,定価よりかなり高い値段で売っています。購入される方は書店で注文するか,山梨日日新聞のサイトから注文下さい(http://www.sannichi.co.jp/BOOKS/list.php
posted by バードリサーチ at 15:44| 書籍紹介 | 更新情報をチェックする

図書紹介 シリーズ現代の生態学5「行動生態学」

シリーズ現代の生態学 行動生態学
日本生態学会編 沓掛展之・古賀庸憲ほか著/共立出版 税別3400円
http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320057388

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 新進気鋭の若手生態学者が考える生態学の体系を11巻のシリーズとして発行している教科書の第5巻,「行動生態学」というタイトルの本を著者の田中啓太さんから寄贈していただきましたので,ご紹介します。

 時代とともにマンガやテレビ,インターネットなどが普及し,ビジュアルな情報を手っ取り早く得ることができるようになりましたが,その一方で,じっくり読む本の価値が再認識されています。文章の中に描写される世界を自分の中で再構成して頭に思い浮かべることは,ビジュアルな情報源ではできないプロセスです。行動生態学を目指した学部生時代,まわりにその分野の教師がいなかった僕は,ひたすら本を読みました。手っ取り早くない方法だからこそ,自分で考える力がみにつくのではないかと,振り返ってみて,今はそう思います。
 さて,この本は,学生を対象と考えて編纂されています。ただ,最近の日本語の専門書ではみかけないぐらい,図表(ビジュアル)がありません。難しくない理論でも,書いてあることを読み解いて,自分で画を思い描かないといけませんが,その思考をする分だけ,理解が深まります。図表が少ないことは,もう一つ良いことがあります。ページ数の割に内容がぎっしり詰まっていることです。生態学の分野は,研究のプロセスもテーマも,解明する対象も多岐にわたっていますが,この本では網羅的にまとめることはせずに,今まさに活発に研究が行なわれているテーマをその分野の第一人者や新進気鋭の若手が分担執筆しています。1970年代,1980年代のさきがけ的な研究からどのように研究が進み現在に至っているのか,今何が一番注目されているのかが,必要十分な脱線でまとめられているので,よりぎっしり詰まっている印象を受けます。
 鳥だけの本ではありませんが,バードリサーチャー(そんな単語はない?)なら,最先端を走る研究と自分の調査データを照らしてみて,自分が対象とする鳥がなぜ今のような行動を進化させたのか,考えを高めるのにうってつけの良書です。初学者は,図表の多い比較的読みやすくまとめられた教科書で行動生態学の考え方に一度触れてから読むことをおすすめしますが,2冊目か3冊目の本として,ぜひ。
高木憲太郎
posted by バードリサーチ at 10:59| 書籍紹介 | 更新情報をチェックする
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